米でつながるアジア

タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア。4カ国に共通するのは、何といっても「ごはんが真ん中」であるということ。みんなごはんが大好き。だけど、食べ方も食べているお米もちょっとずつ違う。

例えばインドネシア。長粒米もあるけれど、いちばんよく食べられているのは、日本のお米にも似た中粒のジャヴァニカ米。たぶん、4カ国のうちでいちばん米好きなのはインドネシア人。「ナシ(米)がなければ食事とはいえない」と思っている人がほとんどで、朝も昼も夜もたいていごはんを食べる。インドネシアは米どころも多く、生産量は中国、インドに続く世界第3位だ。

ジャカルタのパサール(市場)。白米だけでもじつにたくさんの種類が。右は長粒の紫米。(photo by Takashima)

マレーシアは長粒米が主で、「お米の食べ方でいちばんメジャーなのは、おかずと一緒に混ぜて食べるナシチャンプルや経済飯」(古川)。タイはジャスミンライスがよく知られているが、「東北タイのイーサーンではもち米が主食。ふつうの米も食べるが、昔ながらの主食といえばもち米」(下関)。また、カノムチーンやクイッティアオなど米から作った麺もよく食べられている。

「カノムチーン」という米で作られた麺にカレーをかけ、野菜をたっぷりと添えて食べる昔ながらの料理。       (photo by Takashima)

シンガポールは?といえば、やっぱりみんなごはんが好き。小麦の麺もパンもパスタも食べるけれど、それ以上に米が食べられている印象。ホーカーのエコノミーライス(経済飯)や中華料理店では、たいてい粘り気も香りも強くない中流米や長粒米を使う。タイ料理店ではジャスミンライスが出てくるし、リトルインディアのムスタファセンターに行けば、インド各地の珍しい米も手に入る。

日本のお米も愛されている。日系のスーパーに精米機が置いてあったり、チルドで日本米を空輸し、出荷直前に精米して配達してくれるお米屋さんがあったり。最近では「日系のおにぎり屋さんも増えて繁盛している」(伊能)らしい。

リトル・インディアのケララ料理店で。マッタライスと呼ばれるケララの赤米は粒が丸く、独特の風味。(photo by Takashima)

アジアでおにぎりが市民権を得るのも楽しいけれど、アジア各国の多彩な米文化のことも、もっともっと知りたい&比べたい。どんなおかずにどんなお米が合うのか。ゆでたり蒸したり、包んだり丸めたり、調理法の幅はどのくらい広いのか。お米料理に使う調理器具のことも知りたいな。四カ国にそれぞれ微妙な好みの差があるし、民族やエリアによっての違いにも迫りたい。

メンバーにちらっと問いかけただけで、果てしなく広がる米談義。ちょっと先になるかもしれないけれど、お米をテーマにした食べ比べもできたらいいなと思っている。

(高島系子)

By | 2017-06-23T09:38:45+00:00 2017. 06. 21|Categories: Column|Tags: , , , , |